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精神科先進的治療
Advanced psychiatric treatment

うつ病への反復経頭蓋磁気刺激療法(rTMS)
Repetitive Transcranial Magnetic Stimulation

rTMS療法の概要

最新のBrainsway TMSシステムを導入し、磁気コイルから発生する磁場で脳の特定部位を非侵襲的に刺激する反復経頭蓋磁気刺激療法(rTMS)の保険診療下での臨床提供を行っています。

rTMS療法の概要

反復経頭蓋磁気刺激療法(rTMS)は、パルス磁場による誘導電流(渦電流)で特定部位の神経細胞を繰り返し刺激して、うつ病によるうつ症状を改善させる治療法です。抗うつ薬による治療を継続しながら、rTMS療法を追加することが可能です。保険診療では、rTMS療法に関する講習を受けた⽇本精神神経学会認定の専⾨医の指⽰のもと、1⽇20分、週5⽇、4週から6週間にわたるrTMS実施(治療クール)が認められています。

治療方法は?

rTMS療法には、Brainsway TMS システム(BrainsWay社製)を使⽤し、医療法人カジオ会 八代病院シーサイドこころケアステーションのTMS治療室で、訓練を受けた医師・当院スタッフによって、定められたやり⽅で⾏われます。当院では、入院していただき日々の状態などを確認しながら行います。
初回の診察で、rTMS療法の適応の有無について、有効性と安全性(※当院では、全身状態の確認のため、血液検査や頭部CT検査等を行います)の観点から評価します。必要に応じて、薬物療法の調整や更に詳しい検査(脳波検査、頭部MRI検査など)を実施することがあります。
初回のrTMS療法実施⽇は、刺激部位と刺激強度を決めてから(20分)、治療を開始します。椅子に座って、治療装置のヘルメットを装着します。刺激そのものは約20分間ですが、その間は訓練を受けた医師や当院スタッフがそばで⾒守っています。刺激にともなう不快感などございましたら遠慮なくお知らせ下さい。初回の刺激では、刺激時の痛みや不快感を感じる場合もありますが、慣れによって軽減します。刺激中の痛みが強い場合には、⼀時的に刺激強度を下げることも出来ます。治療終了時には、医師が副作⽤や精神症状を評価します。
2回⽬の治療以降は、原則的に、刺激部位と刺激強度を決める⼿順はありません。毎回の治療の前後で、医師による診察を受けて頂きます。治療プロトコールは、下表のように1回/⽇・5回/週・3週間、つまり15回施⾏した時点で中間評価を⾏い、寛解なら漸減しつつ継続、部分寛解なら継続、⾮寛解なら終了となりますが、有効性・安全性に基づいて随時判断されます。

治療プロトコール

治療開始前1週目2週目3週目中間評価
(第3週最終日)
第4週第5週第6週治療後評価
HAMD21週5回週5回週5回寛解
(HAMD21:9以下)
週3回週2回週1回HAMD21
部分寛解
(改善率20%以上)
週5回週5回週5回
⾮寛解
(改善率20%未満)
中止

※HAMD:ハミルトンうつ病評価尺度

rTMS療法の適応

以下に挙げる項⽬に合致する18 歳以上の⽅がrTMS療法の対象となります。精神科専⾨医による判断が必要となります。

対象

  • うつ病(⼤うつ病性障害)の診断を受けていること
  • 抗うつ薬による適切な薬物療法で⼗分な改善が得られていないこと
  • 中等症以上の抑うつ症状を⽰していること

上記の項⽬を満たしていても、学会が定めた適正使⽤指針(rTMS療法のルール)に基づいて担当医師が適応外と判断した場合は、rTMS療法をお断わりすることや途中で終了することがあります。また、安静運動閾値が⾼すぎるために適切な刺激強度を設定できず、TMS導⼊を⾒送らざるを得ないこともあります。

rTMS療法を受けることで、すべてのうつ病が改善するわけではありませんし、効き⽅には個⼈差があります。
世界で報告された臨床試験の結果をまとめて整理すると、以下のことが⾔えます。

予測される有効性rTMS療法の抗うつ効果の程度は、抗うつ薬による治療効果と同等かそれより少し⼤きいと考えられますが、電気けいれん療法による抗うつ効果には及びません。うつ病患者さんの約3割は抗うつ薬治療に反応しないと⾔われており、最近のrTMS療法の治療情報を収集したデータベースを⽤いた研究では、そのうちの40〜50%がrTMS療法に反応しています。つまり、逆に⾔えば、抗うつ薬が効かない患者さんの50〜60%はrTMS療法にも反応していないことはご留意下さい。rTMS療法によって、病前に近い寛解レベルまで回復する割合は15〜25%と⾔われています。再発率に関するデータは⼗分ありませんが、rTMS療法が有効であった患者さんの6〜12ヵ月における再発率は10〜30%と推定されています。

以上のように、抗うつ薬によって⼗分な効果が得られない患者さんの40〜50%が安全性の⾼いrTMS療法によって抗うつ薬と同等の治療効果を⽰すことに⼀定の意義はあります。しかし、誰もが恩恵を受けるような万能な治療ではないことを事前に知った上で同意して頂く必要性があります。rTMS療法に反応しない場合には、次の治療オプションについて担当医師と話し合うこととなります。

rTMS療法の副作⽤に関して、以下に列挙します。

予測される副作⽤

  1. 頻度の⾼い副作⽤:頭⽪痛・刺激痛(30%前後)、顔⾯の不快感(30%前後)、頸部痛・肩こり(10%前後)、頭痛(10%未満)。ほとんどが刺激中に限定した副作⽤で、刺激強度を下げたり慣れの効果により軽減されます。ただし、刺激が終わってからも違和感が残存することや頭痛が惹起されることがあります。
  2. 重篤な副作⽤:最も重症な副作⽤としてけいれん発作が挙げられますが、その発⽣率は1セッションあたり0.003%、患者1⼈あたり0.07%と報告されています。けいれん発作そのものは⾃然に終息しますが、けいれん発作に起因する外傷や嘔吐物誤嚥などの危険性が想定されます。もっとも、これまでのrTMSに起因するけいれん誘発事例の報告の中で、けいれんを繰り返す症例や、てんかんを新たに発症した症例は⼀例も報告されていません。また、rTMS療法によるけいれん誘発のリスクは、抗うつ薬によるけいれん誘発のリスク(0.1〜0.6%)と⽐べて、特別⾼い訳ではありません。けいれん発作が⽣じた場合、適切に処置を⾏います。失神の報告もありますが頻度は不明です。
  3. その他の副作⽤(頻度⼩):聴⼒低下、⽿鳴りの増悪、めまいの増悪、急性の精神症状変化(躁転など)、認知機能変化、局所熱傷など。聴⼒を保護するために刺激中は⽿栓を着⽤して頂きます。治療を要する躁転のリスクは1%弱と報告されています。

以上より、rTMS療法の安全性や忍容性は、電気けいれん療法や抗うつ薬治療に⽐べても優れていると⾔えます。

治療導入から退院までの流れ

当院以外の医療機関で治療中の方

  1. まずは、主治医にご相談ください
  2. 主治医医療機関様より当院へお問い合わせください
    (ご紹介状・rTMS適正質問票、rTMS連携シート兼チェックリストをご準備していただく必要がございます)
  3. 当院担当部署より、患者様にお電話させていただき初診日時を調整
  4. 初診日:診察・TMSの施行前検査
  5. 検査結果などが揃った後、院内で施行可否検討会議を行います
  6. 可否をお電話にてご連絡
  7. 施行可能であれば、入院日時調整
  8. 入院下で治療開始
  9. 治療終了後は、外来での治療を継続
    (※原則、紹介元の主治医医療機関様での外来治療継続をお願いしています)

※主治医医療機関様を介さずrTMS治療を施行することはいたしかねますのでご了承ください。

当院外来通院中の方

  1. まずは、主治医にご相談ください
  2. rTMSの施行前検査
  3. 検査結果などが揃った後、院内で施行可否検討会議を行います
  4. 可否をお電話にてご連絡
  5. 施行可能であれば、入院日時調整
  6. 入院下で治療開始
  7. 治療終了後は、当院外来にて引き続き治療継続

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