双極性障害
Bipolar disorder
双極性障害とは?
双極性障害は躁状態とうつ状態を繰り返す脳の病気です。男女差はなく、約100人に1人がかかると言われており、決して珍しい病気ではありません。20代から30代で発症することが多いとされていますが、思春期から老年期まで幅広い年齢で発症します。
発症の要因は?
双極性障害の原因は明らかにはなっていませんが、統合失調症と同様、複数の遺伝要因と様々な環境要因が組み合わさることで発症すると考えられています。複数の遺伝要因には統合失調症と共通のものも含まれています。
どのような症状ですか?
躁状態では全体的にエネルギーが亢進しており、気分、思考、行動のいずれにおいて通常よりも高まった状態が見られる一方で、うつ状態では全体的にエネルギーが乏しく、気分、思考、行動のいずれも低下しており、うつ病と同じ症状が見られます。
躁状態の症状
- 気分が高揚している
- 自分が偉くなったように感じる
- ほとんど寝ていなくても元気
- 人の話を聞かずよく喋る
- どんどん新しいアイデアが浮かんでくる
- 1つのことに集中できない
- 複数の仕事を請け負う、複数の習い事を始める
- 必要以上に多額な買い物をする
・・・など
うつ状態の症状
- 少しも気分が晴れることはなく、楽しい/嬉しいことがあっても喜べない
- 何かをしたいと思えず、したとしても楽しめない
- 自分を価値のない人間だと思う
- 周りに迷惑をかけてしまって申し訳ないと思う
- 物事に集中して取り組むことができない
- 日常の1つ1つのことに関して、なかなか決められない
- 「生きていても仕方ない」「死んでしまった方が楽だ」という気持ちになる
・・・など
双極性障害には激しい躁状態が見られる双極I型障害と、軽い躁状態(軽躁状態)とうつ状態が見られる双極II型障害があります。激しい躁状態では職場や家庭でのトラブルを引き起こし、職や家庭を失う結果に繋がることもあるため、早期の治療介入が必要となります。
激しい躁状態は、周囲からみても病的な状態であるため、早期診断・早期治療に繋がりやすいですが、軽躁状態は、本人の自覚が乏しいだけでなく、周囲から病的な状態と認識されないことがほとんどです。よって、双極II型障害は軽躁状態に気付かれないままうつ病と診断され、軽躁状態とうつ状態を繰り返している過程で適切な診断に至ることが多い病気です。
しかし、双極性障害とうつ病は治療法が異なり、双極性障害に対してうつ病の治療が行われることでなかなか治らなかったり、病状が悪化したりするため、うつ状態に至る前に軽い躁状態があったかどうかが重要です。